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DOWAサーモテック

代表取締役社長 住田 敏郎

DOWAサーモテックの事業は、自動車のエンジン部品やギアなどに、表面強度を上げるためのさまざまな熱処理を行う熱処理加工事業と、熱処理設備の製造、販売、メンテナンスを行う工業炉事業を二つの柱としています。

熱処理加工事業では、製品の熱処理を行うために炉を高温に保つ必要があります。多量のエネルギーを消費するため、省エネへの取り組みは地球環境保護の重要なテーマであるとともに、当社の経営における重要な課題でもあります。熱処理条件の見直しや操業改善など、各工場でも目標を定めて改善活動に取り組んでいます。また、廃油など各工程から排出される産業廃棄物については、リサイクル化をさらに推進するとともに、法令以上に厳しい社内基準を設定し、適正管理に努めています。

当社の主要顧客である自動車業界は、国内市場から海外市場へのシフトをますます加速させています。当社も、米国をはじめ、中国、タイ、インド、インドネシアの5か国に拠点を持ち、顧客の現地生産化をサポートしています。海外における環境保護ならびに安全確保はスタートしたばかりですが、日本国内との連携を深めながら進めてまいります。

DOWAサーモエンジニアリング株式会社太田工場

所在地:〒373-0031 群馬県太田市脇屋町997-20
従業員:105名(2013.3末)

関東一円の熱処理主力拠点

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2008年に操業開始したDOWAサーモエンジニアリング太田工場(以下 太田工場)は、群馬県太田市に位置し、DOWAグループの熱処理事業の全国ネットワーク(7工場)における、関東一円の主力拠点です。

熱処理加工は、「より強く、より軽く、より永く」を目的として金属部品の表面に処理を施すもので、耐摩耗性や耐食性が求められる自動車や建設機械にとって欠かせない技術です。

太田工場は、浸炭処理、塩浴(TD)処理、ショットピーニングという3つのメニューを持ち、月産処理能力1,000トンの熱処理炉、立体自動倉庫や自動搬送装置などの設備や機器をコンピュータで統合的に管理する「FAシステム」を採用した最新式の熱処理工場です。また、自社開発した省エネ熱処理設備の導入のほか、100kW級の太陽光パネルを設置するなど、省エネルギーや環境負荷の低減にも積極的に取り組んでいます。

エネルギー効率の最大化へ

熱処理加工は高温かつ長時間の処理技術で多くのエネルギーを必要とするため、省エネルギーへの取り組みは常に大きな課題と認識しています。

DOWAサーモテックの熱処理事業の主力である浸炭処理は、主に自動車部品向けで、少量で処理条件が異なる製品や処理時間が長い製品に向く「バッチ炉」と、大量の製品を効率よく処理する「ミニ連続炉」を使用しています。太田工場では、これらの炉の断熱効果を上げる工夫により、周囲への放射熱量を下げて燃料消費量を低減しています。さらに2012年度は、写真ミニ連続炉で加工する製品の処理条件を揃えることによって生産性の向上を図りました。ミニ連続炉は、一度に同じ条件で大量に処理する場合にはエネルギー消費量を低減できますが、加熱速度・温度・時間などにより特性が左右されるため、求められる性能の異なる多様な製品に対する処理条件の統一は難しい課題でした。太田工場では、材質や規格の異なる製品に対し、これまでの経験とノウハウに基づきさまざまな角度から試行錯誤や工夫を続けた結果、お客様の目的に合わせた適切な処理条件の設定が実現できました。

VOICE生産課 生技グループ
吉富 桂太

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熱処理条件の統一は多品種ある製品を一つひとつ精査しながら進めるため、非常に根気を要する課題でした。太田工場では計画段階から組織一体となり統一化への課題を共有することができ、またお客様と連携して早期に量産に移行できました。統一化前は、ミニ連続炉で対象製品が変わるたびに、温度および雰囲気を変更するため空炉が目立っていましたが、現在では月~土で常時製品が流れ、炉の予防保全も実施できるようになり、目に見えた効果を確認できています。

高精度な品質管理体制

熱処理は、お預かりしたお客様の大切な製品に最適な処理を施してお返しする事業であり、製造から検査、出荷に至るすべての段階で厳しい品質管理が求められます。

太田工場では、処理済みの製品はさまざまな検査装置によりチェックされ、権限者による製品検査結果のコンピュータ入力を経て出荷許可を行うなど、品質保持のための管理作業を標準化しています。設備面では、立体自動倉庫での集中保管・管理を導入、さらに製品の搬入口と搬出口を厳密に分けたレイアウトにより未処理品の混入を防止するなど、写真高精度な品質管理体制を構築しています。さらに人材面においても、外部講師による技術勉強会や社員自らが講師になる熱処理技能教育の実施、資格取得支援など従業員の育成にも力を入れ、技術力の強化や品質向上に努めています。このようなシステム・設備・教育などの多面的な取り組みにより、歩留まり率(製造工程において欠陥なしに製造・出荷できる割合)は、DOWAグループの熱処理工場の中でもトップクラスを維持しています。

VOICE品質管理課
稲吉 孝宜

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太田工場では工場建設段階より、熱処理工場の「あるべき姿」を追求して建設された工場であり、熱処理設備においても最新の設備が導入され、熱処理条件を常時監視し、異常を早期検出することが可能となっています。これらの理想的な工場レイアウト、最新の熱処理設備により、トラブルも少なく、品質的にも安定した操業が実現しています。また、「朝市ボード」を使って工程内の問題点の見える化を行い、毎朝全従業員がボードの前に集合し、全体朝礼を行うことにより、日々の連絡事項を共有化するとともに、各部署連携を取りながら問題点の早期解決に向けて取り組んでいます。

2012年度トピックス:連続3年間無災害記録を達成

太田工場では安全管理を第一に掲げ、毎月の安全パトロールをはじめとして、ヒヤリハット活動、小集団活動など、さまざまな取り組みを推進しています。写真また、5S(1.整理 2.整頓 3.清掃 4.清潔 5.しつけ)活動を安全衛生推進の基本として、毎日13時より一斉清掃を行っています。日々取り組むことで、見えにくい現場の問題点も明らかになり、また常に整頓されていることで業務の快適性も向上します。2012年度には連続3年間無災害記録を達成し、これまで以上に従業員一同力を入れて取り組んでいます。

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