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DOWAメタルマイン

代表取締役社長 関口 明

DOWAグループの基盤である鉱山・製錬部門を担うDOWAメタルマインは、長年にわたり培ってきた高度な製錬技術をベースに特長ある環境・リサイクルコンビナートを構築し、世界でも類を見ないビジネスモデルを構築しております。

小坂製錬と秋田製錬を中核とするグループ各社が、それぞれの固有技術を駆使して連携し、天然鉱石から各種リサイクル原料までの多様な原料を安全にかつ効率よく処理し、20種類の元素回収を実現しております。

亜鉛事業では、昨年度から本格稼動を始めた鉄鋼ダストからの亜鉛リサイクル事業を順調に進めているほか、秋田製錬において世界一の品質を目指し、低コストでの鉛フリー電気亜鉛の生産技術を開発し、量産体制を構築しました。

当社は今後も海外鉱山への投融資による資源確保に加え、製錬コンビナート機能の強化による多様な元素回収を進め、効率的なリサイクルプロセスの確立のために政府機関および大学との連携による技術開発に注力し、高品質な素材の安定供給を継続して、循環型社会の構築に貢献してまいります。

秋田製錬株式会社

所在地:〒011-8555 秋田県秋田市飯島字古道下川端217番9号
従業員:216名(2013.3末)

環境・リサイクルコンビナートの核となる亜鉛製錬所

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亜鉛は、自動車、建築材料、家電などの防食用めっきや、船舶・橋梁などの耐食用部品として、産業と暮らしを支える重要な素材です。秋田製錬は、この亜鉛を年間約20万トン生産する国内最大規模の製錬所であり、またヘマタイト法などに代表される独自技術によって、世界トップレベルの高い実収率(原料の中から有用な金属を取り出せる割合)を実現しています。

実は亜鉛の原料となる精鉱やリサイクル原料には、亜鉛のほかにもさまざまな金属成分が含まれています。秋田製錬では亜鉛の副産物としてカドミウムと硫酸も製造していますが、さらにより多くの資源を無駄なく取り出して社会に提供するため、秋田県内のDOWAグループの各事業所と資源ネットワークを構築しています。グループ各社が連携し、技術やプロセスを組み合わせることで、金・銀をはじめ、インジウム、ガリウムといったレアメタルなどの多種類の金属を一層効率的に回収できます。秋田製錬はこの環境・リサイクルコンビナートの核として、循環型社会の実現に向けて取り組んでいます。

世界一の品質を目指して

秋田製錬は、国内最大規模の亜鉛製錬所であると同時に、世界で最も品質にこだわる製錬所です。2012年、当社は鉛の含有率を従来の1/10以下に抑える技術を開発し、鉛含有量1ppm以下という高品質な亜鉛地金を実現しました。鉛は亜鉛鉱石中の微量成分であり、日本工業規格(JIS)において最も不純物の少ない「最純亜鉛地金」でも鉛含有量は30ppmレベルでした。この最純亜鉛の精製でも鉛含有量の低減は可能でしたが、今回開発に成功したのは製錬工程のみで製造できる世界初の技術であり、既に当社は月産200トンの安定的な生産体制を確立しています。

亜鉛にはさまざまな用途がありますが、今回より安全性の高い亜鉛の製造技術を開発したことで、医療や食品分野など新しい用途開発の可能性が広がります。写真現在は金属めっきに多く使用され、廃棄される金属製品にも微量の鉛が含まれているため、環境汚染や健康被害防止の観点から、今後は廃棄物の適正処理に加えて鉛含有量の低い亜鉛が標準化されていくかもしれません。秋田製錬は、市場のニーズに応えるだけではなく、品質へのこだわりを通して、社会に新たな価値を提供する製錬所であり続けたいと考えています。

VOICE秋田製錬株式会社 電解部
中村 浩文

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4年前にプロジェクトが発足した当時は品質が不安定で、その中で掲げられた「鉛1ppm以下」という非常に高い目標に当初大半の人が実現不可能では…と感じていました。そんな中でスタートした開発ですが、ビーカー試験ではさまざまな新しい発見があり、その後スケールアップ試験を経て、開発スタートから2年後にようやく現場試験までこぎつけることができました。全く新しい取り組みということで製造現場の方々には多大なる苦労をかけましたが、昨年度に目標であった「鉛1ppm以下」の亜鉛を安定的に製造する体制を確立できました。

鉄鋼メーカーとの連携、ダストからの亜鉛リサイクル

亜鉛の主要用途先である鉄鋼では、スクラップから鉄をリサイクルしています。その過程で副生する鉄鋼ダストには、多くの亜鉛が含まれています。鉄鋼ダストは従来廃棄物でしたが、鉄鋼メーカーにてダストから亜鉛を分離する(鉄を回収する)処理技術を開発したことで、高品位の亜鉛ダストおよびリサイクル鉄が回収されるようになりました。

2010年、秋田製錬の敷地内にて高品位亜鉛ダストからの亜鉛回収を目的とした秋田ジンクリサイクリングが稼働開始しました。工業的には日本初となる亜鉛を浸出・抽出する技術を用いて、年間約2万トンの亜鉛を生産しています。写真工場には、常時1,000トンの鉄鋼ダスト(フレコン600個分)を格納することのできる立体自動倉庫を備えるなど、より安定的に操業できる体制を整えています。

天然資源の少ない日本では、廃棄物の有効利用は原料の安定確保につながる大きな意味を持っています。秋田製錬と秋田ジンクリサイクリングは、資源循環の重要な役割を担っていることを常に意識し、より多くの資源を社会に還元できるよう取り組んでいます。

VOICE秋田ジンクリサイクリング株式会社 取締役工場長
佐々木 正

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2010年12月に営業運転を開始し、翌年3月に東日本大震災に見舞われ、いろいろ苦労もありましたが、お蔭様で2012年度は予算生産量を達成することができました。経営理念である「資源の循環を通じ、持続可能な社会構築に貢献する、世界一優れたリサイクルを行う」を実現するため、社員一丸となり目標に向かって日夜励んでいます。また、当社は会社も社員も若いですが、その若さを活かして必死にあるべき姿に近づこうとしています。

2012年度トピックス:家族見学会

2013年3月、秋田製錬では従業員のご家族を対象とした「家族見学会」を実施しました。普段なかなか見る機会がない職場の様子や製造工程、製品などを知ってもらうことと、ご家族の方の目から見た構内の安全状況や対策を確認してもらうことを目的に実施しました。当日は、小さなお子さんからご両親まで、幅広い年代のご家族170名にお集まりいただき、写真バス2台、8班に分かれて事業紹介、工場見学、昼食会を行いました。

説明員はもちろん、受付や駐車場係、バスの運転まで、すべて従業員が対応。体育館にキッズスペースを設けたり、事業紹介にクイズを盛り込むなど、楽しい一日を過ごしていただけるよう、一生懸命に取り組みました。今後も大切な家族の方々に理解し応援していただける会社を目指し、継続して開催していきます。

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