ESGライブラリ

コーポレート・ガバナンス

基本的な考え方

当社およびグループ各社は、「地球を舞台とした事業活動を通じて、豊かな社会の創造と資源循環型社会の構築に貢献する」という企業理念のもと、社会からの各種要請にも応えてきました。また、コーポレート・ガバナンスの強化を経営の最高課題の一つとして位置付け、「DOWAグループの企業理念、ビジョン、価値観、行動規範」に基づき、社会への貢献とともに内部統制の効果的かつ効率的な体制整備と運営にグループ全社を挙げて取り組んでいます。

当社は、持株会社制を採用しています。市場の最前線で顧客のニーズをより敏感に捉え、権限をもって迅速な意思決定を行うとともに、事業特性に応じて柔軟かつ大胆な事業運営を実施できるよう各事業会社を分社化し、当社自身は、持株会社となってグループの持続的成長による企業価値の最大化を図っています。

当社は、(1)監査役会の設置、(2)社外取締役の選任により、経営の健全性の確保を図っています。

推進体制

当社は、監査役会設置会社です。また、意思決定の迅速化と経営の効率化のため、執行役員制を採用するとともに、持株会社制を採用して事業部門を子会社に分離しています。さらに、取締役会の監督機能の向上を図るため、取締役会の定員を13名以内・任期を1年として、経営責任の明確化を図っています。

2022年6月25日現在の取締役は9名(社外取締役3名を含む)で、取締役会を原則として毎月1回開催しています。

また、執行役員は9名(取締役兼務者なし)で、経営執行会議を原則として毎月1回開催し、業務執行状況について執行役員の情報共有化を図っています。監査役は4名で、うち3名は社外監査役です。各監査役は、取締役の業務執行に関する監査を実施し、原則として毎月1回開催する監査役会に報告して監査の実効性と効率化を図っています。

コーポレート・ガバナンス強化への取り組み

取締役会・監査役会関連 その他
2000年度 執行役員制度の導入
2003年度 定款に定める取締役の人数と任期の縮減
(20名→15名、任期2年→1年)
2006年度 定款に定める取締役の人数の縮減(15名→13名) 持株会社制への移行
2007年度 社外取締役を1名選任
2009年度 買収防衛策の廃止
2015年度 女性社外取締役を1名選任(社外取締役2名体制へ) 内部統制システムの改正
2017年度 取締役会の実行性評価を開始
2018年度 取締役会での政策保有株式の保有是非検討の開始
2019年度 指名委員会の設置
2020年度 外部機関を活用した取締役会の実効性評価の実施 監査部門の設置
2021年度 社外取締役を1名選任(社外取締役3名体制へ)
2022年度 サステナビリティ推進会議の設置

ガバナンスの遂行

私たちは、高い倫理観を持って、事業活動を律する枠組みを構築・運用し、開かれた透明感のある組織を目指します。また、汚職や贈収賄、優越的地位の乱用など不正・不法な行為を防止し、それらに関する内部告発を行った者に対して不利益な扱いをしません。

取締役会・取締役

当社の取締役会は、社外取締役3名を含む取締役9名(男性8名・女性1名)で構成され、監査役4名も出席しています。

取締役会では、各議案についての審議や業務執行状況の監督などについて、活発な意見交換がなされており、意思決定および監督の実効性は確保されているものと考えています。さらに、社外取締役および監査役は、定期的な会合として意見交換会を実施し、その連携を確保しています。

取締役会の実効性評価

当社は、取締役会の機能を向上させ、ひいては企業価値向上を高めることを目的として、取締役会の実効性につき、自己評価・分析を実施しています。自己評価・分析については、外部機関の助言を得ながら毎年実施しています。

取締役会では実効性評価を踏まえ、課題について十分な検討を行った上で対応し、取締役会の機能を高める取り組みを継続的に進めていきます。

監査役会・監査役

監査役(4名。うち1名は銀行業務のなかで会計・財務に関する知見を培っています)は、監査役会が定めた当年度の監査の方針・監査計画に従い、取締役会その他重要な会議への出席や、取締役からその職務の執行状況について聴取するなど取締役の職務の執行を監査しています。また、会計監査人の独立性を監視し、会計監査人からの会計計画の説明および監査結果の報告などにより、会計監査人と連携を図っています。

監査役会の構成

氏名 役職 就任時期 重要な兼務の状況
木下 博 監査役(常勤) 2020年6月
福澤 元 監査役(常勤) 独立役員 2021年6月
大庭 浩一郎 監査役(非常勤) 独立役員 2023年6月 弁護士、競馬セキュリティサービス(株)取締役、雪印種苗(株)取締役
小室 真吾 監査役(非常勤) 独立役員 2023年6月 藤田観光(株)監査役

(2023年6月28日現在)

会計監査

監査法人の名称 有限責任監査法人トーマツ

継続監査期間 1969年3月期以降

注)当社は、1969年3月期から2007年3月期まで、みすず監査法人(1969年3月期当時は監査法人東京第一公認会計士事務所)と監査契約を締結しており、みすず監査法人解散に伴い、2008年3月期から有限責任監査法人トーマツ(当時は監査法人トーマツ)と監査契約を締結しています。ただし、当社の監査業務を執行していた公認会計士も有限責任監査法人トーマツへ異動し、異動後も継続して当社の監査業務を執行していたことから、同一の監査法人が当社の監査業務を継続して執行していると考えられるため、当該公認会計士の異動前の監査法人の監査期間を合わせて記載しています

当社の会計監査人については公認会計士法等の定めに従い、以下の運用となっています。

  • 筆頭業務執行社員については連続して5会計期間を超えて監査業務に関与していません。
  • 業務執行社員は原則として連続して7会計期間を超えて監査業務に関与していません。

役員報酬

取締役の個人別の基本報酬額、業績連動報酬額及び譲渡制限付株式報酬の割合については、当社と同程度の事業規模や関連する業種、業態に属する企業をベンチマークとして、報酬委員会において検討を行い、報酬委員会の答申内容を尊重して、代表取締役社長が決定します。

取締役の個人別の報酬内容の決定については、取締役会で定めた決定方針との整合性を含めた多角的な検討を報酬委員会が行っており、委員会により定められた算定プロセスに従い代表取締役社長が決定しています。

これらの権限を委任した理由は、会社事業運営を総括している代表取締役に委任することが適切な判断につながるためです。取締役会としても、以上の報酬委員会の関与によって、個人別の報酬内容につきましてその決定方針に沿うものであると判断しています。

また、取締役に対しては、重大な不正・違反行為等が派生した場合、株式の交付などを行いこととする条項(マルス条項)を譲渡制限付株式報酬を対象に導入しています。

当社の企業価値の持続的な向上を図るためのインセンティブを与えるとともに、株主の皆様との一層の価値共有を進めることを目的とし、取締役(社外を除く)及び執行役員を対象として、中長期の業績連動報酬として譲渡制限付株式報酬を導入しています。本制度における譲渡制限期間満了日は役員退任時としています。

方針

基本方針

固定報酬としての「基本報酬」、グループ連結業績を反映した「業績連動報酬」および「譲渡制限付株式報酬」によって構成しています。ただし、社外取締役については、独立した客観的立場から監督する役割を担うことから、個人別の業績を反映させる制度にはしていません。また、各監査役の報酬は、業務執行から独立しているため固定報酬のみとし、株主総会で承認を受けた報酬総額の範囲内において、監査役の協議により報酬額を決定しています。なお、上記の報酬委員会とは、年に1回以上開催され、社外取締役のほか社外有識者など外部者が過半数を占めるメンバーにより構成される任意の委員会をいいます。

個人別基本報酬額の決定に関する方針

取締役の基本報酬は、月例の固定報酬とし、役位および個人の成果に応じて、当社の業績、他社水準、従業員給与の水準も考慮しながら、総合的に勘案して決定します。

業務連動報酬の内容及び算定方法の決定に関する方針

業績連動報酬は、経常利益を基準として定める業績連動報酬基準額に個人別業績を反映させた現金報酬とし、毎年一定の時期に支給します。業績連動報酬の算定基準となる指標に経常利益を採用するねらいは、企業利益と報酬の連動による事業成長への貢献意欲の向上です。

譲渡制限付株式報酬の内容および算定方法の決定に関する方針

譲渡制限付株式報酬は、取締役に対して取締役会決議に基づく金銭報酬債権を付与し、それを会社に現物出資させることで、退任までの譲渡制限を付した当社の普通株式を発行することにより支給します。金銭報酬債権額は取締役の役位に応じて決定し、1株当たりの金額は、株式の発行または処分に係る各取締役会決議日の前営業日の東京証券取引所における当社株価の終値とします。譲渡制限付株式報酬は、当社企業価値の持続的な向上に対する中長期的なインセンティブの醸成と、株主との一層の価値共有を目的として導入しています。

譲渡制限付株式報酬の導入

当社は、2022年5月13日開催の取締役会において当社の取締役(社外取締役を除く。以下、対象取締役)および当社の執行役員に対して、当社の企業価値の持続的な向上を図るインセンティブを与えるとともに、取締役と株主の皆様との一層の価値共有を進めることを目的として、譲渡制限付株式報酬制度を導入することを決議しました。

なお、2016年6月24日開催の定時株主総会において、取締役に支給する報酬上限額を、年額5億7千万円以内と決議しています。当該定時株主総会終結時点での取締役の員数は7名(うち、社外取締役は2名)です。

また、2006年6月28日開催の定時株主総会において、監査役に支給する報酬上限額を、年額1億円以内と決議しています。当該定時株主総会終結時点での監査役の員数は4名です。更に、2022年6月24日開催の定時株主総会において、取締役に対する譲渡制限付株式報酬付与のために、付与する金銭報酬債権の総額を年額1億円以内、発行又は処分する普通株式の総数を年44,000株以内と決議しています。

政策保有株式

当社は、お取引先などとの関係の維持・強化、発行会社との強固な信頼関係の形成を目的に当社企業価値の向上につながるものを政策保有株式と位置づけ、個別の銘柄ごとに当初の保有目的に合致しているか、保有に伴う便益やリスクは資本コストに見合っているかなどを踏まえて継続保有の可否を総合的に判断し、その内容については取締役会において定期的に検証しています。保有を続けても企業価値の向上に資さないと判断した場合は、市場への影響を考慮しつつ順次売却します。

純投資目的以外の投資株式に係る議決権の行使にあたっては、その議案が発行会社の企業価値の向上につながる適切な意思決定を行っているか、当社の企業価値向上にもつながっているか等を総合的に勘案し、適否を判断します。

内部統制システム

当社グループは、「DOWAグループの企業理念、ビジョン、価値観、行動規範」に則り、社会への貢献とともに、企業価値の最大化と株主から負託された経営責任を果たすため、内部統制の効果的かつ効率的な体制整備と運営にグループ全社を挙げて取り組んでいます。

当社は、「COSOの内部統制統合的フレームワーク」をベースにした内部統制システムの構築を図っています。その中で、経営に重大な影響を及ぼす危機を未然に防止し、万一発生した場合の被害を極小化するため、COSOおよびJISQ2001を参照して全社的リスクマネジメント(ERM)の推進に取り組んでいます。具体的には、各事業活動における顕在的・潜在的リスクの洗い出し、対応策の実施、モニタリング、監査という一連のリスクマネジメントプロセスの強化・徹底を進めています。

当社が採用する持株会社制は、各事業グループが専門性を高めるとともに諸施策のスピードを上げて実施できる一方で、統制システムが局所的に特化して全体としての統制が乱れる危険性も孕んでいます。

このため、内部統制の基本方針「内部統制システムについて」をグループ各社が共有したうえで、持株会社制に合わせた「Ⅳ線ディフェンス体制」を構築し、グループとしての内部統制を図っています。「Ⅳ線ディフェンス体制」においては、第Ⅰ線(事業遂行)、第Ⅱ線(事業管理)、第Ⅲ線(グループ管理)、第Ⅳ線(グループ評価)がそれぞれ内部統制上の役割を担っています。内部統制システムは、事業内容や社会環境の変化に合わせて見直しを続けなければならないものであり、当社グループはこのシステムの整備と運用を一層強力に進めていきます。

IV線ディフェンス体制(内部統制体制図)

IV線ディフェンス体制(内部統制体制図)