DOWA CSR報告書2019

編集方針

Environment環境

DOWAグループは、事業活動が環境に及ぼす影響を認識し、本業を通じた環境・社会への取り組みと、自社事業における環境負荷の低減を経営における重要な課題と位置付け、グループ全体で取り組みを進めています。

CSR方針

  • お客様(顧客、地域など)に対し循環型社会の構築に寄与する製品・サービスを提供する
  • 事業活動における環境負荷、環境リスクを低減する
  • 経営陣から従業員にいたるまで、一体となって環境保全活動に取り組む
  • 生物多様性に配慮した事業活動を行う

活動の進捗状況

企業統治分野における2018年度の活動状況と、2019年度の計画は以下の通りです。

2018年度 実績

環境重点施策 課題 指標 評価 主な実績
資源循環の推進 リサイクル原料の海外集荷強化 対前年度増
  • 貴金属銅製錬向け廃電子基板の グローバル集荷拡大
  • 欧州・アジア拠点活用による自動車 廃触媒集荷の拡大
環境負荷 大規模排出事業所における省エネ型設備更新の推進 温室効果ガス総排出量対前年度比1%削減 前年度比3%減少
環境リスク セミナー講習会によるレベルアップと環境管理体制の相互巡視 8地区 4地区
生物多様性 鉱山関連サプライヤーの生物多様性配慮状況の確認 取引金額ベース80%以上 × 12.6%

2019年度 取り組みと目標

資源循環の推進 リサイクル原料の海外集荷強化   対前年度増
環境負荷 省エネ型設備更新・エネルギー転換の推進   温室効果ガス総排出量対前年度比1%削減
環境リスク セミナー講習会によるレベルアップと環境管理体制の相互巡視   8地区
生物多様性 鉱山関連サプライヤーの生物多様性配慮状況の確認   取引金額ベース80%以上

2018年度のマテリアルバランス

DOWAグループでは、事業のライフサイクルの各段階で必要な資源やエネルギーの投入(INPUT)と、その活動から発生するCO2や廃棄物(OUTPUT)の収支を定量的に把握して、マテリアルバランスを考えながら事業活動を進めています。

INPUT/OUTPUT

 CO2排出量については、原則として、系統電力購入量、化石燃料消費量、および受入廃棄物量に対して地球温暖化対策の推進に関する法律(温対法)における排出係数を乗じて求めています。受入廃棄物由来のCO2排出量に関しては、この報告書の作成に当たり算定条件を設定しているため、行政への報告値と必ずしも一致しない場合があります。また、日本と海外の廃棄物の分類が異なることと、海外事業所の受入廃棄物に対し適切な排出係数を設定するのが困難であることにより、廃棄物起源のCO2排出量については国内事業所分のみ表示しています。また、集計の見直しに伴い、CSR報告書2018で報告した数値を一部修正しています。

環境の現況について ― 気候変動への取り組み

 DOWAグループでは、日本経団連および日本鉱業協会の低炭素社会実行計画(2013年1月公表)に基づき、「2020年度におけるCO2排出原単位を1990年度比で15%削減する」という目標を掲げ取り組んでいます。

温室効果ガス排出量の削減

 2018年度のグループ全体での温室効果ガス排出量は、約1,868千t-CO2(国内1,748千t-CO2、海外120千t-CO2)で、前年度に比較して国内外ともに約3%の減少となりました。

2018年度の主な取り組み
電力起源
電力起源
化石燃料起源
化石燃料起源

再生可能エネルギーへの取り組み

 当社では再生可能エネルギーによる自家発電の活用と、事業を通じた再生可能エネルギーの普及を通じて、地球温暖化対策に取り組んでいます。
 小坂製錬(秋田県)では、1897(明治30)年、鉱山開発に利用するため国内で2番目となる水力発電所の運転を開始しました。その後も事業の拡大に伴い設備の増設と整備を続け、現在は秋田県内に6か所の水力発電所を保有しています。2018年度は45.4GWhの発電を行っており、小坂製錬のエネルギーを賄う重要な電力源となっています。また、サーモエンジニアリング太田工場(群馬県)、メルテック(栃木県)、DOWAハイテック(埼玉県)、エコシステム山陽(岡山県)、アクトビーリサイクリング(熊本県)の事業所では、太陽光発電システムを導入しています。2018年度は5社合計で339MWhの発電を行い、事業活動に必要な電力の一部として使用しています。

TOPICS

インドネシア初となる有害廃棄物の鉄道輸送を開始

 インドネシアで唯一許可を受けた有害廃棄物の最終処分場を保有し、廃棄物の総合管理サービスを提供するPPLi社では、2018年8月、インドネシア国鉄およびその運営子会社KALOGと共同で、同国初となる有害廃棄物の鉄道輸送を開始しました。鉄道に切り替えることにより、トラックでは約3日かかっていた輸送時間が約1日となり、より安定したスケジュールで安全に運搬できるようになりました。また、単位輸送量当たりのCO2排出量は、自動車よりも鉄道が大幅に少ないことが知られています。
 本プロジェクトは同国監督官庁ならびにインドネシア国鉄とその物流子会社の協力のもと、粘り強く試験運行に取り組み、4年をかけて実現にこぎつけることができました。DOWAグループでは、行政、地域、事業会社と様々なセクターと協力し合いながらアジアの環境課題の解決に貢献しています。

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水資源の保全

 DOWAグループでは、毎年、国内外の生産拠点での水使用量に加え、取水源と排水先の状況の把握を行っています。事業所内の有効利用を推進して取水量を削減し、グループ全体で水使用量の削減に努めています。

水資源

 2018年度の水資源投入量は114.9百万m3で、前年度比で約0.4%増加しました。当社の水資源の用途は製錬工程で使用する冷却水が最も多く、これには海水を使用しています。淡水の使用量は全体の10%程度となりますが、前年度比約2.3%増加の13百万m3でした。
 2018年度は、節水型の設備導入やプロセス内での循環利用などにより水使用量の削減に取り組みました。

排水

 2018年度の総排水量は129百万m3で、前年度比約0.4%減少しました。最も多い製錬の冷却水は海水を利用しており、工程での使用後に水質を確認し元の海域に戻しています。
 各事業所では排水管理を確実に行い、排水規制の遵守だけでなく、厳しい自主基準を設けるなど水質の保全に取り組んでいます。

水資源使用量
水資源使用量

生物多様性の保全

 DOWAグループでは、生物多様性基本方針に基づき、事業活動が生物多様性に与える影響の最小化を図るとともに、社会貢献活動を通じた生物多様性の保全を進めています。

生物多様性基本方針

私たちDOWAグループは、自らの事業活動が生物多様性が生み出す自然の恩恵を受けており、その恵みを持続的に享受するには生物多様性の保全が重要であることを認識し、社会の一員として生物多様性の保全と持続可能な利用に自発的かつ継続的に取り組みます。

調達における生物多様性への配慮

 森林資源である紙の供給は重要な生態系サービスの一つであり、気候変動や廃棄物などとも関わる課題です。当社の製造事業は非鉄金属を中心としているため、水を除き主な原材料に生物資源は使用していませんが、国内外すべての事業所において紙を使用しており、グループ全体では毎年大量の紙を購入しています。このためコピー用紙やパンフレット類には古紙や森林認証材パルプを配合した紙を採用し、生物資源の持続可能な利用に取り組んでいます。
 2018年度の用紙の調達先選定時には、用紙そのものの環境性に加え、CSR調達方針に基づいて調達先企業が「責任ある用紙調達」を通じて生物多様性に配慮していることを確認しました。

資源循環の取り組み

 DOWAグループでは、自社の製造工程、他社の製造工程、そして社会から発生する廃棄物まで3つのループを通じて、限りある資源の有効活用に取り組んでいます。同時に資源循環における社会的責任として、適切な水処理、廃棄物の無害化、確実な最終処分など、リサイクルのあらゆる段階で環境負荷の最小化に努めるとともに、処理工程で発生する熱を蒸気や電力として活用するなど、環境保全と省エネルギーに配慮した持続可能な資源循環を目指しています。

3つの資源循環ループ

①自社内発生・自社利用で、当社の製錬や金属加工などの「製造事業」で発生した廃棄物を「環境事業」「製錬事業」でリサイクル。金属素材として販売するほか、当社の原料として再利用を行っています。

②他社の製造工場の工程から発生する金属くずなどを受け入れて行うリサイクルです。当社の素材や部品を納める顧客工場からの場合は、受け入れた廃棄物を原料として再び活かすなど、新たな資源投入量の削減に繋がっています。

③使用済みの最終製品のリサイクルです。家電リサイクルや自動車リサイクル、小型家電リサイクルなどを通じ、社会から幅広く回収された使用済み製品は、金属素材として再び社会に還元されます。

また、当社で活用できない紙、アルミなどについては、他社のリサイクル工程を通して適切に資源化されるよう努めています。

3つの資源循環ループ

原材料

2018年度の原材料使用量は1,093千トンで、前年度に比べ約4%増加しました。当社の原料は、金属製錬に使用する鉱石が最も多く、2018年度は約69%、次いで金属スクラップなどのリサイクル原料が約14%を占めています。

受入廃棄物

2018年度の受入廃棄物量は1,533千トンで、前年度に比べ約2%減少と、ほぼ同水準でした。

製品

2018年度の製品出荷量は983千トンで、前年度に比べ約3%増加しました。これは主に熱処理加工の稼働率向上に伴い取り扱い量が増加したことと熱処理炉の製造台数が増加したことによるものです。

排出廃棄物

2018年度の廃棄物処理量は386千トンで、前年に比べ約2%とわずかに減少しました。

リサイクル

2018年度のサーマルリサイクル量は350千トンで、前年度に比べ約8%増加しました。このうちグループ内でのリサイクルが43千トン、社外でのリサイクルが306千トンでした。
2018年度のマテリアルリサイクル量は262千トンで、前年度に比べ約5.6%増加しました。このうちグループ内でのリサイクルが72千トン、社外でのリサイクルが190千トンでした。

CLOSE UP 2018

リチウムイオン電池リサイクル

安全な処理と効率的な金属リサイクルを両立

 リチウムイオン電池は高出力でエネルギー効率が高く、小型で軽量なため、携帯電話から電気自動車(EV)まで、幅広い電子機器に欠かせない電池として需要が拡大しています。一方で、廃棄・解体時には感電や発火などの危険性があることと、金属価格の変動により回収した製錬原料の価値が左右されることなどから継続的で安定した処理が確立せず、将来に備えた安全で効率的な回収・リサイクル体制の整備が望まれていました。

 環境事業を行うDOWAエコシステムでは、2019年1月より秋田県大館市において無害化後のリチウムイオン電池の再資源化ラインを稼働しました。DOWAエコシステムは、2018年10月から(一社)日本自動車工業会が立ち上げたリチウムイオン電池の共同回収スキームに参画しており、電池リサイクル施設としてDOWAグループのエコシステム秋田およびエコシステム山陽が登録されています。
 これまでは、DOWAグループが保有する複数の大型焼却炉で、熱処理によってリチウムイオン電池を無害化した後、鉄と鉄以外の金属混合物に分け、金属混合物は同じDOWAグループのメルテックで溶融して、建設資材用の人工骨材と製錬向けの原料にリサイクルしていました。今回稼働した再資源化ラインは月間約100トンの処理能力を有し、熱処理による無害化後の電池を鉄、アルミ、銅、コバルト・ニッケル混合物などに分離します。これにより、現在よりも効率よくそれぞれの金属原料として再資源化することが出来、安全な処理と高効率なリサイクルを両立することが可能になりました。
 DOWAグループは、廃棄物の適正処理や再資源化など環境・リサイクルサービスの強化を推進し、地球環境の保全に貢献していきます。

1,300nm帯の近赤外LEDチップ

エコシステム秋田

1,300nm帯の近赤外LEDチップ

エコシステム山陽

リチウムイオン電池の製造、処理、金属リサイクルのフロー

リチウムイオン電池の製造、処理、金属リサイクルのフロー

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