ESGライブラリ

DX(データ利活用)

基本的な考え方

DOWAグループは、AIやIoT等のデジタル技術を用いたデータ利活用の推進により、事業の根幹をなす、ものづくりを変革し、事業・ビジネスを進化させることが不可欠であると認識しています。そのため、DX基本方針を「ものづくりの変革」(DOWA Transformation)と定め、「IT基盤整備」「情報セキュリティの強化」「DX人材育成」に取り組み、グループを挙げてDXの実現を目指しています。

ものづくりの変革(DOWA Transformation)

推進体制

2021年度からDX推進のためのプロジェクトチームを組成し、グループをあげたDX推進の準備を進めてきました。また、2022年4月に「サステナビリティ委員会」の傘下に「DX推進ワーキンググループ(WG)」を設置しました。「DX推進WG」では、AI・IoT等の改善に関する目標を定め、各事業におけるDXプロジェクト等のニーズ・課題・進捗の確認を行いながら、リソース提供等の支援を行います。

「中期計画2024」におけるDX推進施策

「中期計画2024」では、グループ全体で「DX事業戦略」を推進するため、「IT基盤整備」「情報セキュリティの強化」「DX人材育成」の3つの施策を展開します。2023年度後半からは、DXの本格展開の根幹を担うグループ共通クラウド基盤の運用を開始します。その後、同基盤を活用し、事業を横断したデータ利活用や工程間のデータ連携を推進していきます。

中期計画2024におけるDX推進

目標と実績

主な施策 指標 目標
IT基盤の構築 グループ共通クラウド基盤の運用 2023年度下期運用開始
DX人材の育成 育成人数 累計80名(2022~2024年度)

IT基盤整備

2021年度から取り組んでいた、グループ全体におけるデータ利活用を可能とする新たなグループ共通クラウド基盤の構築が完了し、2023年8月から稼働を開始しました。先行してグループ共通の基幹業務システムを本基盤上に実装し、活用フェーズに移っていきます。今後、グループを横断したデータやリソースの連携を容易にする情報管理や、各事業が独自で保有している生産系システムのクラウド移行の基盤として、幅広い利活用を推進していきます。

DX人材の育成

DX推進には、各事業拠点において実際にデジタル技術を活用できる人材が必要となります。そのため、当社グループでは、社内でDXを推進できる人材の育成に取り組んでいます。特に、現場の改善につながりやすいAIの活用については、従業員のステージに応じて、段階的に学びを深められるコースを用意し、2022年度下期から研修を開始しました。

DX人材の育成

サポート拠点の設置

グループの各拠点においてDXを推進するために、国内主要拠点(秋田・関東・中部・岡山)に生産技術および情報システムに関するサポートセンターを設置しました。各サポートセンターでは、AIに関する各種改善支援(画像解析、音響解析、データサイエンス、自然言語処理)を行うほか、クラウド活用・情報セキュリティに関する各社の状況調査を行い、ニーズに対する提案などを行っています。

サポート拠点の設置

取り組み

情報セキュリティの強化

日々変化するサイバー攻撃からIT基盤を守るために、脅威となるウイルスを「持ち込まない」「侵入させない」「拡散させない」ための最新技術を取り入れ、全社ネットワークや工場ネットワークに順次展開しています。また、高まるサイバー攻撃による事業リスクを想定し、2023年からは主要拠点において、サイバーインシデント対応訓練を開始しました。一方で、当社グループの従業員がサイバー攻撃やウイルスメールの危険性などのセキュリティに関する理解を深めたうえで、日頃の業務に取り組むこともセキュリティ強化には不可欠です。そのため、ランサムウェアやビジネスメール詐欺など、誰もが知っておくべき情報セキュリティの基礎・基本をわかりやすく解説した資料・動画教材を、社内イントラネット上で公開するとともに、海外拠点にも周知し、従業員の情報リテラシーの向上を図っています。

AIを活用した伸銅品の表面不良個所の検出

DOWAメタニクスではコイル状の伸銅品を製造しています。伸銅品は表面に欠陥がないことが求められるため、欠陥箇所を検出するために画像による自動検査を行っています。しかし、従来の画像検査では、重大な品質異常につながる欠陥画像とその他の欠陥画像を識別できないため、最終的に大量の画像を人が再確認していました。今回、生産性の改善を目指し、既存の欠陥画像を読み込み、AI技術を用いて分類した結果を出力するシステムを構築しました。その結果、人による再確認が必要な画像を約97%削減することができました。また、重大な欠陥の見逃しは従来通りゼロを実現するとともに、AI技術による不良分類の再現率は100%を達成しました。なお、これらの取り組みは社内クラウドの活用など、すべて社内リソースで実現しました。また、ユーザーインターフェイスなどを充実させることにより、ブラックボックスがなく、作業者が使いやすいシステムとして構築することができました。

伸銅品

伸銅品

DX認定

2022年7月に経済産業省が定める「DX認定事業者」に認定されました。DX認定制度は、経済産業省が定める「デジタルガバナンス・コード」の項目に対応し、DX推進の準備が整っている事業者を国が認定するものです。