DOWA CSR報告書2015

Society社会

社会との関わり

DOWAグループでは、各事業所・部門において、お客様、株主・投資家、お取引先、地域社会、従業員などの主たるステークホルダーとさまざまな手段でコミュニケーションを実施しています。

主なステークホルダーとの関わり

主なステークホルダーとの関わり図

株主・投資家とともに

DOWAグループでは、株主・投資家等のステークホルダーの方々に対する企業・経営情報の説明をコーポレート・ガバナンス上の重要課題の一つと認識しており、適時・適切な情報開示に努めています。四半期毎の決算発表においては、経営層による決算説明会の開催を行っています。また国内外の投資家へ経営情報を直接説明する機会も設けています。またDOWAグループの経営方針・経営状況を報告するツールとして、和文・英文・中文アニュアルレポートや報告書を発行し、適切で透明性の高い情報開示に努めています。

株主・投資家とのコミュニケーション

株主総会

毎年6月、定時株主総会をホテル椿山荘東京で開催しており、2014年は約400名の株主の方々にご出席いただきました。株主総会終了後には、株主の方々とのコミュニケーションを促進することを目的として懇談会を開催し、役員との対話の場や、各事業の製品展示コーナーを設けています。
また、懇談会会場とは別にプレゼンテーションルームを設け、役員によるDOWAグループのトピックスの説明を行っています。
2014年度は、熱処理事業の海外展開や研究開発などの取り組みについてプレゼンテーションを行いました。

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投資家向け見学会

DOWAグループの事業活動に対する理解を深めていただくため、機関投資家や証券アナリストを対象とした見学会を毎年実施しています。
2014年7月、DOWAサーモエンジニアリング太田工場(群馬県)にて、機関投資家を対象とする工場見学会を開催しました。現場見学会は投資家向け広報活動の一環として毎年実施しており、「各事業で具体的にどのようなことに取り組んでいるのか理解が深められる」と大変好評をいただいています。
見学会では、熱処理事業全体を説明した後、太田工場の工程についての説明・現地見学を行いました。見学後の質疑では、熱処理事業の特徴や今後の注力分野に関してさまざまな質問が寄せられ、設備販売・メンテナンスと加工サービスの両方を手がけているDOWAサーモテックの強みについて、理解を深めていただくことができました。

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DOWAホールディングスWebサイト(IR情報)

株主・投資家の方々にDOWAグループ経営状況や事業戦略をご理解いただくために、当社ウェブサイト上でIR情報を発信しています。決算短信、有価証券報告書などのほか、アニュアルレポートや株主通信などの資料も掲載しています。今後もわかりやすくタイムリーな情報開示に努めていきます。

http://www.dowa.co.jp/jp/ir/

WEB Site

お客様・お取引先とともに

DOWAグループは、高品質な製品・サービスの提供を通じてより良い社会の実現に貢献していくとともに、お客様との良好な関係づくりや満足度向上に努めています。お取引先とは、長期的な信頼関係を構築し、良きパートナーとしてお互いが自己の力を一層発揮できるよう取り組んでいます。
また、当社のCSR調達方針、行動規範などをとりまとめた「DOWAグループCSR調達ガイドライン」をお取引先に配布し、当社グループのCSRについての考え方への理解を求めるなど、サプライチェーン全体でのCSRを推進しています。

品質管理

DOWAグループでは、モノづくりをする上で「品質」を重要な経営基軸として位置付けています。主要製造工場は品質マネジメントシステムの国際規格ISO9001の認証を取得しています。
この品質マネジメントシステムをPDCAに基づき継続的に運用することで、製品およびサービスの品質の向上に努めています。
また、DOWAグループの提供する製品は、製錬、粉体、めっき、半導体、熱処理、リサイクルなど幅広い領域にわたっています。それぞれの分野でトップクラスの品質を維持するためには、ハイレベルの評価技術を駆使して、不具合対応、品質改善、新製品開発を進めていく必要があります。そのため自社内に分析を行うテクノセンターを有し、高度な分析・評価設備と人材を揃えて、化学分析、表面分析、物性評価などに取り組んでいます。

お問い合わせ・ご意見への対応

お問い合わせ・ご意見への対応お客様からいただいたご意見やお問い合わせに対しては、迅速に適切な改善を図ることで、ご満足いただける製品やサービスの提供に努めています。情報共有・管理システムの整備を図り、事業所ごとに集められた情報を分類・分析して評価を実施し、製品・サービスの改良・改善や開発につなげています。

紛争鉱物への対応

DOWAグループは、紛争鉱物に係る企業の責任を重要なCSR課題の一つとしてとらえ、グループ会社やお取引先と連携して、調達活動におけるサプライチェーンの透明性の確保と責任ある鉱物調達の実践に取り組んでいます。2014年度は、当社の紛争鉱物管理方針に則り、お取引先に対する調査、お客様からのお問い合わせに対する回答を行いました。

紛争鉱物への対応

CFS認証(紛争フリー製錬所プログラム)の取得

写真電子業界のCSR推進団体であるEICCとICTセクターにおける経済、環境、社会の持続可能性を推進するGeSIでは、製錬所を監査し、「紛争フリー製錬」として認定するプログラム(CFS認証制度)を実施しています。DOWAグループでは、金については2012年に小坂製錬、2013年に貴金属リサイクル(二次精錬)のエコシステムリサイクリングでCFSの認証を受け、紛争鉱物フリーの金の提供を開始しています。
さらに2014年は、お客様とともに責任ある鉱物調達を推進するため、ご要望の多かったスズについても小坂製錬でCFS認証を取得しました。

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地域社会とともに

DOWAグループは、社会分野の取り組みの中で地域貢献を重点施策として取り組んでいます。
国内外の各拠点では、地域とともに歩み発展していくために、地域懇談会などのコミュニケーションやスポーツイベントなどの主催、工場見学やインターンの受入などの地域に根ざしたCSR活動を積極的に展開しています。

地域貢献活動

写真第25回DOWA杯
ジュニア・クロスカントリー
スキー大会

写真第6回児島湾花回廊さくらまつり

2014年度は、地域の方々のご協力のもと、岡山県でのマラソン大会やさくらまつり、秋田県でのジュニア・クロスカントリースキー大会などのイベントを開催し、各地で多くの方々の参加をいただきました。また、海外事業所の取り組みについて、アンケートを通じ社会貢献実施状況の調査を行いました。

地元の小学校での出張授業

写真廃棄物処理のエコシステム千葉では、2015年2月に中川小学校、長浦小学校と、地元袖ケ浦市内の2つの小学校を訪問し、4回目となる出張授業を行いました。2014年度は「なくそう!不法投棄」をテーマに、クイズやゲームを取り入れながら、不法投棄の問題や排出者の処理責任について楽しく学んでいただきました。不法投棄の仕組みを理解するためのカードゲームでは、どうしたら不法投棄を減らせるのか、児童のみなさんが積極的に意見を出し合いました。

職場体験学習の受け入れ

写真金属加工を行うDOWAメタル(静岡)では、2014年10月の2日間、近隣の中学2年生3名を受け入れて職場体験学習を実施しました。この体験学習は、「社会で働いている人を実際に見て仕事を自ら体験し、今後の進路選択や将来設計に活かそう」という学校方針に協力し、毎年実施しています。2014年度は3つの部署で作業を行い、特に品質管理課では、普段学校では目にすることのない測定機器(引っ張り強さ、硬さ、めっき測定)を使用する作業に熱心に取り組みました。

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社会からの評価「スポーツを通じた社会貢献」

2014年4月、「DOWA杯ジュニア・クロスカントリースキー十和田湖大会」におけるDOWAグループの取り組みに対し、秋田県スキー連盟より感謝状が贈呈されました。1991年に始まったDOWA杯は2015年2月に第25回を迎え、秋田県スキー連盟公認大会として、これまで参加した小・中学生の中からオリンピック選手を輩出するなど、ジュニアのノルディック競技では全国トップクラスの大会に成長を遂げてきました。2007年からは障がい者スキー競技(シットスキー)を新設するなど、ジュニア育成や競技力向上のさまざまな貢献が評価されました。

従業員とともに

DOWAグループは、行動規範において、人材を企業活動のすべての基本とし、学歴差、年功差、男女差などに関わらず仕事を進める能力で評価することを定めています。その人材が最大限に力を発揮できるよう、以下の目標を掲げ、さまざまな取り組みを行っています。

雇用の状況

DOWAグループでは、事業計画に合わせた適正な人員配置を推進しており、事業展開に必要な能力を有する多様な人材の雇用に努めています。 2014年度末(2015年3月31日)時点の国内従業員数は5,686名で、昨年より275名の増加となりました。なお、国内正社員のうち男性は3,651名(92%)、女性は318名(8%)です。 また、グローバル展開に伴い、主にアジアで働く現地雇用従業員が前年度より約300 名増加し、海外従業員数の割合が約35%となりました。

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〈 国内の雇用状況 〉

年度

属性

2012年度 2013年度 2014年度
男性 女性 男性 女性 男性 女性
国内正規社員 役員 124 0 121 0 130 0
管理社員 707 8 715 9 735 12
一般社員 2,727 294 2,703 296 2,786 306
国内非正規社員 派遣社員 318 405 479
パート 846 291 859 303 924 314
総計 5,315 5,411 5,686

〈 地域別従業員数 〉

年度

属性

2012年度 2013年度 2014年度
日本 5,315 5,411 5,686
アジア(日本以外) 2,520 2,622 2,903
欧州 4 10 16
北米 92 80 92
中南米 1 1 3
Total 7,932 8,124 8,700

人材の育成と活用

DOWAグループでは、「グローバルな事業で勝ち抜き、価値を認められる人材集団であり続ける」ことを目指し、人材育成の面でも、各職場で継続的に教育を実施する取り組み、若手社員のOn The Job Training(OJT)の強化策の推進、実践的な教育機会の拡充、異なる職務の経験(計画的異動)、自発的な人事異動の仕組みなどを通じた人材育成・活用施策を展開しています。

2014年度の主な実績

DOWAグループ全体で行う階層別教育、専門別研修のほか、事業所ごとに技術、環境、安全など、幅広い教育を実施しています。2014年度は、人材を育成する文化を定着させる取り組みを重点的に実施しました。

〈 人材育成実施状況 〉
対象者 研修内容 参加者数
(名)
延べ研修時間
※研修時間のみ
(時間)
経営幹部
(継続)
トップマネジメント研修 60 480
次期経営幹部
(継続)
ビジネスリーダー養成研修 15 1,350
管理職
(継続)
マネジメント研修、
部下育成研修
71 1,677
中堅社員
(継続)
リーダーシップ研修 46 736
入社3年目まで
(継続)
新入社員研修、OJT、
フォローアップ研修
(スキル向上、組織内の
自己確立)
226 14,768

2015年度の計画

めまぐるしく変化する時代や環境に対応できる人材を育てるために、より戦略的、より本質追求型の教育を目指して、毎年研修の見直しを実施しています。2015年度は、DOWAグループ全体の階層別教育のうち、入社してから管理職になるまでの研修をより体系的に再構築する予定です。また、海外事業の拡大に伴い、グローバル事業要員の拡充・養成を重点的に行います。
さらに、事業競争力強化を目的とし、エンジニアリング力および現場力強化を最重点課題に設定して、昨年より一層多角的に取り組みます。

公正な評価・処遇

行動規範にある「仕事を進める能力で評価する」理念から、DOWAグループでは、以下の方針のもと、公正な評価・処遇が行われ、育成に活用される状態を目指して取り組んでいます。

考課者・被考課者が、会社制度の
仕組みや基準の理解を深め、適切な考課や育成に
活用する取り組みを継続する。
組織目標を共有し、
自らの等級に求められる能力や行動を把握しながら、
業務遂行能力の向上を図る。

考課者・被考課者訓練をグループ全体での取り組みと位置付け、継続的な訓練の機会を設けることで、適切な評価・処遇・育成に努めています。新任マネージャーに対する考課者訓練を毎年実施していますが、2015年度からは、3年間でグループ一巡するよう、考課者・被考課者のトレーニングを実施する計画です。
なお、制度運用状況を把握するための制度サーベイを毎年実施し、課題を抽出し改善を図っています。

評価・考課図

キャリアマッチング制度

従業員のキャリア開発支援および人材の流動化を目的として導入した制度で、対象者が自分のキャリアについてPR(これまでの実績とこれから実現したいこと)を行い、興味を示した各事業会社の幹部との面談で双方が合意すれば異動が実現するものです。対象者は上司・自部門を経由することなく、募集のある部門へ直接異動希望を出すことができます。

ダイバーシティの推進

グループにおけるグローバル展開や事業領域が拡大する中、多様な個性を持つ従業員がそれぞれの力を十分に発揮することが、企業の成長につながると考えています。

グローバル人材層の拡充

DOWAグループはダイバーシティ推進の一環として、国籍によらずグローバルに働くという考えのもと、採用段階からの仕組みづくりを進めています。総合職の新卒採用において、海外大学を卒業した日本人留学生や外国人、海外からの外国人留学生を積極的に採用しており、採用実績も年々増加しています。さまざまな国・地域での人材雇用の拡大に伴い、採用時における人権への配慮とともに、当社の理念や方針等を伝える教育を行っています。また、海外事業所へ赴任する従業員に対しても、赴任前に研修を実施し、異文化理解などの多様性受容教育も実施しています。今後も、グローバル人材層の拡充に取り組んでいきます。

海外スタッフの教育

写真DOWAグループでは、海外拠点の従業員も含めたグループ全体での教育を推進しています。2014年度は、中国とタイの現地採用スタッフを日本に招き、テクニカルトレーニングセンター(静岡)を中心に設備保全と安全に関する研修や、幹部候補社員を対象とした国内での中長期の研修を実施しました。

女性の活躍推進

総合職採用の女性は入社人数全体の1~2割と、決して高くはない数値ですが、事業環境や職場環境の変化に伴い、女性社員比率は年々増加しています。また、働き方において性別による区別なく、女性社員も国内外問わず、製造、研究開発や生産管理、営業管理、経理といったフィールドで活躍しています。
採用・昇格・昇進などにおいても同様に、実力に応じた評価を行っています。事業所においては、女性が働きやすい職場環境を整えるためのインフラや、多様なライフスタイルに対応できる制度を整備しています。2015年度は、さらなる女性活躍推進のために、プロジェクトを立ち上げる予定です。

ベテラン従業員の活用

定年後も引き続きDOWAグループでの勤務を希望する社員に対して、2013年度には、再雇用制度を改定し、役割に応じた処遇体系の新設など、定年年齢に到達した社員がさらにやる気を持って働くことのできる環境整備を行っています。2014年度は、定年後のライフプランに関する情報提供を目的として、一定年齢に到達した社員を対象としたセミナーを開催しました。

障がい者雇用

2014年度は、グループ全体の法定障がい者雇用率を達成することができませんでした。当社の製錬や金属加工などの現場では、障がいのある方々にとって必ずしも働きやすい環境が実現できるとはいえないため、全事業所で一律の増加を目指すのではなく、雇用事業所の中でより質の高い職場環境づくりを進めることや、職場体験の推進などを通じて雇用の増加に取り組みます。

グラフ

社会からの評価
「熊本県障がい者雇用優良事業所として表彰」

写真2014年9月、熊本県独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構より、2014年度の障がい者雇用優良事業所として、家電リサイクルを手がけるアクトビーリサイクリングが表彰されました。同社では、近隣の施設より実習という形で日々約25名の障がい者の方々を受け入れ、基板およびパソコンの解体・選別の訓練を行っています。今回はこれらの活動が評価され、熊本労働局の推薦により表彰に至りました。今後はこれまでの取り組みを一歩前に進めるよう、障がいのある方々の直接雇用に向けた体制の整備などに努めます。

ワーク・ライフ・バランス

DOWAグループのワーク・ライフ・バランスは、従業員がそれぞれのライフスタイルに応じて能力を最大限に発揮できるよう、仕事と家庭生活の両立を重視し、フレックスタイムなどの柔軟な勤務制度や子育て・介護目的の休暇制度の導入などの職場環境の整備を進めています。

多様な働き方の支援

フレックスタイム制度・ボランティア休暇・リフレッシュ休暇DOWAグループでは、柔軟な勤務時間がとれるようコアタイム無しのフレックスタイム制度を導入しています。また、ボランティア休暇や一定の勤続年数ごとに取得できるリフレッシュ休暇制度のほか、子の看護休暇の有給化(5日まで)、育児を理由とした場合の転居を伴う異動の制限など、法に定められている以上の支援策を整備しています。

諸制度の利用状況

年々各制度の利用者数は増加しており、2014年度は育児休職者が16名となりました。また、子の看護休暇は男性9名、女性3名の取得がありました。
年次有給休暇の取得状況については、平均付与日数20日に対し59%でした。事業所ごとに業務状況に応じ、計画年休の推進や年次途中の取得状況のフィードバックなどを通じて、取得率の向上に取り組んでいます。

フレックスタイム制度・ボランティア休暇・リフレッシュ休暇

労働時間低減策の推進

国内の事業所では、法令に従い、時間外労働に関する労使協定を締結し、所轄の行政当局に届け出ています。2014年度は、勤怠管理システムを刷新し、一定の労働時間を超過した場合に管理者への改善計画の提出の義務付けを実施しています。また、労働時間管理の主体となる新任マネージャーを対象とした労務管理教育を実施しました。引き続き、長時間労働の削減のため、ハード・ソフト両面からの労働時間管理強化に努めています。

社内アンケート

CSR部門では、毎年新入社員を対象として、ワーク・ライフ・バランスに関するアンケートを実施しています。2014年度は、男性を含めた育児休暇の取得希望者が初めて85%を超えました。また、約70%以上がノー残業デーやフレックスタイムの活用を希望し、同時にこれらの制度を利用しやすい職場環境の整備を望んでいることがわかりました。これらの意見も踏まえながら、今後もワーク・ライフ・バランスの取り組みを進めていきます。

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