DOWA CSR報告書2017

編集方針

Environment

環境DOWAグループは、事業活動が環境に及ぼす影響を認識し、本業を通じた環境・社会への取り組みと、自社事業における環境負荷の低減を経営における重要な課題と位置付け、グループ全体で取り組みを進めています。

DOWAの環境

DOWAグループでは、環境保全への取り組みを経営における重要な課題と位置付け、環境経営を推進しています。

環境基本方針

 当社は「DOWA の事業活動そのものが環境を良くすることであり、次世代に良い地球環境を継承することを目指して取り組むこと」および「日々の事業活動で地球環境や地域について良いことを考え、地域の人々に愛される行動を実践することで、DOWAグループ社員の行動や意識に公正さと清廉さを社風として定着させていくこと」を基本概念に、環境基本方針を策定しています。

環境管理体制

 DOWAグループの環境管理活動は、環境・安全部門と環境保全活動を行う各事業会社の企画室が連携して行っています。DOWAホールディングスは各事業会社間の調整・取りまとめを行うとともに、DOWAグループ全体の環境管理・コンプライアンス管理を行っています。また、主な国内生産拠点および海外事業所ではISO14001を取得しており、環境管理の適切な実施のために定期的な内部監査・外部監査の実施と、監査員育成講習を通じた内部監査員の育成支援に取り組んでいます。

環境管理体制図

2017年度のマテリアルバランス

INPUT/OUTPUT図

 CO2排出量については、原則として、系統電力購入量、化石燃料消費量、および受入廃棄物量に対して地球温暖化対策の推進に関する法律(温対法)における排出係数を乗じて求めています。受入廃棄物由来のCO2排出量に関しては、この報告書の作成に当たり算定条件を設定しているため、行政への報告値と必ずしも一致しない場合があります。また、日本と海外の廃棄物の分類が異なることと、海外事業所の受入廃棄物に対し適切な排出係数を設定するのが困難であることにより、廃棄物起源のCO2排出量については国内事業所分のみ表示しています。
 また、集計の見直しに伴い、CSR報告書2017で報告した数値を一部修正しています。


環境の現況について

地球温暖化防止の取り組み

DOWAグループでは、日本経団連および日本鉱業協会の低炭素社会実行計画(2013年1月公表)に基づき、「2020年度におけるCO2排出原単位を1990年度比で15%削減する」という目標を掲げ取り組んでいます。

温室効果ガス排出量の削減

 2017年度のDOWAグループ全体での温室効果ガス排出量は、約1,858千t-CO2(国内1,649千t-CO2、海外208千t-CO2)で、前年度に比較して約3%の増加となりました。
 国内における排出量は、対象事業所の増加や新工場の本格稼働にもかかわらず、エネルギー効率の高い設備への切り替えや適切な運転管理によるエネルギー消費量の削減によって約2%減少しました。一方で、海外ではインドネシアやタイでの廃棄物物流の拡大とインドでの事業拡大に伴って化石燃料の使用量が増加したため、前年度に比較して58%の増加となりました。

電力起源

電力起源グラフ

化石燃料起源

化石燃料起源グラフ

2017年度の
主な取り組み

  • ・設備改造・工程改善……7事業所
  • ・設備の小型化、台数削減……3事業所
  • ・高効率タイプの照明器具への切替……12事業所
  • ・設備待機時間の削減、計画停止……5事業所
  • ・廃熱利用、廃棄物発電……8事業所

再生可能エネルギーへの取り組み

 当社では再生可能エネルギーによる自家発電の活用と、事業を通じた再生可能エネルギーの普及を通じて、地球温暖化対策に取り組んでいます。

再生可能エネルギーの活用

 小坂製錬(秋田県)では、1897(明治30)年、鉱山開発に利用するため国内で2番目となる水力発電所の運転を開始しました。その後も事業の拡大に伴い設備の増設と整備を続け、現在は秋田県内に6か所の水力発電所を保有しています。2017年度は49.0GWhの発電を行っており、小坂製錬のエネルギーを賄う重要な電力源となっています。また、サーモエンジニアリング太田工場(群馬県)、DOWAハイテック(埼玉県)、エコシステム山陽(岡山県)、アクトビーリサイクリング(熊本県)の事業所では、太陽光発電システムを導入しています。2017年度は4社合計で343MWhの発電を行い、事業活動に必要な電力の一部として使用しています。

事業を通じた取り組み

 DOWAハイテックは、太陽電池(結晶系シリコン型太陽電池)セルの電極部分に使用される「銀粉」を製造する世界最大級のメーカーです。電極用銀粉は低抵抗性や高精細な配線形状などの特性が求められ、製品性能に大きな影響を与える重要な材料として位置付けられています。国内外メーカーのニーズに最適な銀粉を開発・提案し、安定して供給することで、太陽電池の性能向上に大きく貢献しています。
 イー・アンド・イー ソリューションズは、太陽光、風力、バイオマスなどの再生可能エネルギーの導入支援業務を数多く実施している環境コンサルティング会社です。メガソーラーの発電量予測、発電設備に係る技術検証やリスク評価、洋上風力発電の環境アセスメントなどを通じて、再生可能エネルギーの普及に取り組んでいます。


水資源の保全

DOWAグループでは、毎年、国内外の生産拠点での水使用量に加え、取水源と排水先の状況の把握を行っています。事業所内の有効利用を推進して取水量を削減し、グループ全体で水使用量の削減に努めています。

水資源の使用

 2017年度の水資源投入量は114.6百万m3で、前年度比で約40%増加しました。これは、製錬の冷却水として海水の使用量が増加したことに伴うものです。冷却水は工程での使用後に水質を確認し、蒸発分を除きすべて元の海域に戻されます。一方、淡水の使用量は前年度から約4%減少の12.7百万m3でした。
 2017年度は、節水型の設備導入やプロセス内での循環利用などにより水使用量の削減に取り組みました。

排水

 2017年度の総排水量は約130百万m3で、前年度比38%増加しました。各事業所では排水管理を確実に行い、排水規制の遵守だけでなく、厳しい自主基準を設けるなど水質の保全に取り組んでいます。

水資源使用量

水資源使用量グラフ

生物多様性の保全

DOWAグループでは、生物多様性基本方針に基づき、事業活動が生物多様性に与える影響の最小化を図るとともに、社会貢献活動を通じた生物多様性の保全を進めています。

生物多様性基本方針

私たちDOWAグループは、自らの事業活動が生物多様性が生み出す自然の恩恵を受けており、その恵みを持続的に享受するには生物多様性の保全が重要であることを認識し、社会の一員として生物多様性の保全と持続可能な利用に自発的かつ継続的に取り組みます。

調達における生物多様性への配慮

 森林資源である紙の供給は重要な生態系サービスの一つであり、気候変動や廃棄物などとも関わる課題です。DOWAグループの製造事業は非鉄金属を中心としているため、水を除き主な原材料に生物資源は使用していませんが、国内外すべての事業所において紙を使用しており、グループ全体では毎年大量の紙を購入しています。このためコピー用紙やパンフレット類には古紙や森林認証材パルプを配合した紙を採用し、生物資源の持続可能な利用に取り組んでいます。
 2017年度の用紙の調達先選定時には、用紙そのものの環境性に加え、CSR調達方針に基づいて調達先企業が「責任ある用紙調達」を通じて生物多様性に配慮していることを確認しました。

「責任ある用紙調達」確認事項

  • 木材原料の調達方針を定めている
  • 木材原料の合法性を確認する管理体制を構築し、運用している
  • 原料パルプの調達先に関する情報を提供できる

資源循環の取り組み

 DOWAグループでは、SDGsの目標の中で、「12.持続可能な消費と生産のパターンを確保する」が、最も密接にかかわっている領域であり、かつ目標達成に向けて大きな力を発揮し貢献できると考えています。当社の技術やリソースを通して資源循環に取り組むことで、目標12の達成を目指しています。
 DOWAグループの資源循環には、大きく3つのループがあります。
 1つ目は、自社内発生・自社利用で、当社の製錬や金属加工などの「製造事業」で発生した廃棄物を「環境事業」「製錬事業」でリサイクルしています。金属素材として販売するほか、当社の原料として再利用を行っています。
 2つ目は、他社の製造工場の工程から発生する金属くずなどを受け入れて行うリサイクルです。当社の素材や部品を納める顧客工場からの場合は、受け入れた廃棄物を原料として再び活かすなど、新たな資源投入量の削減に繋がっています。
 3つ目は、使用済みの最終製品のリサイクルです。家電リサイクルや自動車リサイクル、小型家電リサイクルなどを通じ、社会から幅広く回収された使用済み製品は、金属素材として再び社会に還元されます。
 また、当社でリサイクルできない紙、鉄、アルミなどについては、他社のリサイクル工程を通して適切に資源化されるよう努めています。

資源循環図

 DOWAグループでは、このように自社の生産段階にはじまり社会から発生する廃棄物まで、3つのループを通じて限りある資源の有効活用に取り組んでいます。同時に資源循環における社会的責任として、適切な水処理、廃棄物の無害化、確実な最終処分など、リサイクルのあらゆる段階で環境負荷の最小化に努めるとともに、処理工程で発生する熱を蒸気や電力として活用するなど、環境保全と省エネルギーに配慮した持続可能な資源循環を目指しています。

INPUT

●原材料
2017年度の原材料使用量は1,053千トンで、前年度に比べ約1%減少とほぼ同じ水準でした。当社の原料は、金属製錬に使用する鉱石が最も多く、2017年度は約60%、次いで金属スクラップなどのリサイクル原料が約17%を占めています。
●受入廃棄物
2017年度の受入廃棄物量は1,568千トンで、前年度に比べ約4%減少しました。これは土壌浄化に伴う汚染土壌の受け入れ量の減少によるものです。

↓

OUTPUT

●製品
2017年度の製品出荷量は954千トンで、前年度に比べ約3%増加しました。これは主に亜鉛製品の出荷増と熱処理炉の製造台数が増加したことによるものです。
●リサイクル
2017年度のサーマルリサイクル量は313千トンで、前年度に比べ約15%減少しました。このうちDOWAグループ内でのリサイクルが311千トン、社外でのリサイクルが2千トンでした。2017年度のマテリアルリサイクル量は249千トンで、前年度に比べ約5%減少しました。このうちDOWAグループ内でのリサイクルが122千トン、社外でのリサイクルが126千トンでした。
●排出廃棄物
2017年度の廃棄物処理量は392千トンで、前年に比べ約6%減少しました。これまで廃棄物としていた紙類の一部をリサイクルしたことなどによるものです。

TOPICS

焼却灰の金属回収と再資源化

 2017年12月、福島県いわき市のメルテックいわきにおいて、栃木県のメルテックに続く国内2拠点目となる焼却灰溶融処理・人工骨材製造施設の稼働を開始しました。
 自治体のごみ処理施設から発生する焼却灰は、多くが最終処分場で埋め立てられますが、再資源化率の向上と最終処分場容量の確保を目的に、溶融処理などの再資源化を選択する自治体が増加しています。メルテックでは1999年から、焼却灰を還元状態で溶融し時間をかけて冷却する独自の処理プロセスによって、人工骨材として利用される溶融スラグと金・銀・銅やそのほかの有価金属を含む溶融メタルを製造してきました。今回新たに稼働したメルテックいわきでは、約20年の稼働実績を持つメルテックと同じ処理プロセスを導入し、立地するいわき市をはじめとする自治体から焼却灰を受け入れます。溶融処理を2施設体制とすることで、灰溶融・再資源化能力は年間約9万トンに倍増し、焼却灰を資源として有効に活用したいお客様のニーズにお応えしていきます。
 溶融スラグは、天然石と同等の強度を有し、有害な重金属類が分離され環境上安全であるため、 道路の路盤材に使用する人工骨材として高い品質評価を頂いています。また、有価金属を含む溶融メタルはDOWAグループの小坂製錬が製錬原料として、金・銀・銅などの金属にリサイクルします。
 DOWAグループでは、焼却灰溶融処理・人工骨材製造事業の拡大など、廃棄物の適正処理や再資源化を推進し、SDGsの達成に貢献していきます。

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